船橋市本町の外科(一般・消化器)、肛門科

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処置・手術関連

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処置・手術関連

office-based surgery(OBS)って?

office-based surgery(OBS)とは早い話が外来の外科手術(処置)ということです。
米国でいうoffice-based surgery(OBS)は単に外来手術や処置を意味するものではなく、むしろ全身麻酔による日帰り手術まで包含したものと捉えられています。米国ではoffice surgery(外来手術専門外科)とも言われ、その専門医をoffice surgeon(外来手術専門外科医)とも言います。日本では診療科目としては外科、その専門医を外科医と呼ぶのみです。
そもそも外科とはなんでしょうか?患者さんは外科が何を扱うのか、整形外科とは違うのか、肛門科は肛門科のみなのか、など意外と知りません。外科は施設により違いはありますが、一般的には脳と心臓を除く内臓の外科です。消化器外科がそのメインであり、食道から肛門までの消化管、肝臓や膵臓など腹部臓器を扱います。また、乳腺など体表の疾患、それらのがんからやけどなど皮膚外傷の治療まで扱います。肛門科とは大学の教育機関でその講座があるわけではなく、外科の一つの診療範囲ですが、その患者数が多く、より専門性が求められているための標榜科目と言えます。このような対象とする疾患の範囲は多く、市中の基幹病院ではその診断から治療までほとんどが外科が担当しています。それら対象疾患の大半はがんなど悪性疾患や救急疾患であり、生命に直結している領域です。患者さんの数の多いありふれた良性外科疾患(肛門疾患がその代表格)は生命に直接関わらないため、おざなりになっている現状もあるのです。肛門疾患は3人に1人、下肢静脈瘤・そけいヘルニア・巻き爪は10人に1人です。生命には関わらなくとも患者さんの苦痛度は高く、治療法も数多くあり、それぞれの患者さんの病態やニーズに合わせた治療を選択するには高い専門性が必要です。
私(田中)はこれらありふれた外科対象疾患を専門的に診療する外科が必要なのではないかと思い、また、それらの疾患が外来で診断から治療まで可能であることから、当クリニックを開設し、以後さらに外来専門外科の研鑽を努めています。この外来専門外科がoffice-based surgery(OBS)であり、その中でも当クリニックが対象としている疾患は、肛門疾患、内視鏡検査・治療、そけいヘルニア、下肢静脈瘤、皮下腫瘤(皮膚皮下腫瘍・乳腺腫瘍)、陥入爪・巻き爪、切り傷ややけどなど傷の治療です。

入院しないで日帰りで手術?

本邦では入院手術がまだ一般的ですが、医療先進国の米国では全手術症例の70%以上が、病院や独立型日帰り手術施設にて日帰りで行われています。さらに患者さんの満足度からoffice-based surgery(OBS)が急成長し、現在全米の手術件数の約25%がoffice(いわゆる診療所)で施行されています。従来、入院が条件であった手術が、高品質の最先端医療を駆使し、体への負担を最小限にした手術により可能にすることができるようになったのです。日帰り手術のメリットとしては日常のリズムを変えずに手術を受けられ、入院の煩わしさが無いことです。例えば、仕事で忙しく早期に会社復帰を行いたい人、小さい子供さんを抱えた母親、自宅で療養を希望する人、なれない環境に混乱を起こす可能性がある高齢者の方、などにはよい方法です。さらに、従来より治療費が2~5割リーズナブルで経済的負担も軽減できます。このように、日帰り手術は患者さんの生活の質を高め、医療費を抑える点で多大なるメリットをもたらすと考えられていますが、本邦の基幹病院では体制上、そのニーズに十分な対応を取り切れていないのが現状です。また、日帰り手術を施行する際には、適応となる疾患やその病態、患者さんの健康状態や生活背景など条件があります。これら条件を適切に判断し、入院治療と同じ治療を提供するには、日帰り手術の専門施設あるいは日帰り手術に力を入れている施設での診療が正しいと考えます。ただし、日帰り手術は一つの手術のオプションですから入院手術を希望される方は入院して治療を受けた方がよいと思います。ご自身の生活スタイルに合わせた治療法を選択するのが正しいと当クリニックでは考えます。
当クリニックはoffice-based surgery(OBS)の専門クリニックですから、全ての治療が日帰りの診療となります。従来入院して行われていた手術の内、当クリニックの対象疾患は肛門疾患、胃・大腸ポリープ、そけいヘルニア、下肢静脈瘤です。

日帰り手術の流れについて

内視鏡下ポリープ切除や従来からの外来手術はこれに当てはまらず、いわゆる入院下手術疾患の日帰り手術に対してのものです。

当クリニックでの手術は、すべて日帰り手術であり、すべて入院不要です。しかし、手術内容は入院で行う手術と同じであり、患者さんの日帰り手術に対する認識が大切です。ご自身が受ける手術の正しい認識は、術後の管理の点からも重要です。

患者さんの生活背景の適応として

  • ご本人とご家族の方が日帰り手術を理解し希望している。
  • 術後、数日間の自宅療養期間をもうけることができる。
  • 帰宅時、帰宅後に成人の介護者がいることが望ましいのですが、単身赴任中など独居生活の患者さんも多く受けられています。
  • 他の方の運転やタクシーで帰宅可能である。
  • 緊急時は約1時間以内で来院可能である。
  • 術後、翌日および数回、症状により受診可能である。
  • ご本人と介護者の方は術前、術後の注意事項を守ることができる。などがあります。このような事を考慮して、個々の患者さんにあわせて、より正しい方法を相談して決めていきます(例えば遠方の方は近隣のホテルで1泊して手術するなど)。

日帰り手術の流れ

初診時にまず、病態と患者さんの治したいレベルにあわせて治療方針が決定されます。手術希望の方には日帰り手術の適応の有無が決定されます(保存治療後の決定や検査後の決定もあります)

術前必須の検査としては採血、心電図のみですので、初診時にも行えます。肛門からの出血を伴う患者さんには下部内視鏡検査を勧めています。

術前検査結果(結果により追加検査の必要を決定します)、病態、手術方法、合併症など術前説明を行い、手術日に来院となります。最短で手術をする場合、初診時に術前検査を行い、同日に手術日も決定すると、次回再診日に術前説明が行われ、手術までの受診回数は2回となります。

手術日:月曜から木曜日に行っています。開始約2時間前に来院して頂きます。

  • 術後の受診に関しては疾患や手術の内容によって異なります。ただし、原則的に翌日には再診して頂きます。その後、肛門疾患では術後1週目に1回、その後1~2週に1回と間隔があいていきます。そけいヘルニアの場合は翌日以後、術後1週目と1カ月後のみです。
  • 術後自宅療養期間も疾患や手術の内容によって異なります。肛門疾患では3~4日の方が多い状況です。そけいヘルニアの場合は1~2日の方が多いです。
  • 家事や入浴は翌日から可能です(むしろ肛門疾患では入浴は必要です)。
  • 運動は、術後1カ月は控えてください。
  • 術後は1日24時間、いつでも主治医と連絡がとれるシステムになっています。

以上が大体の流れです。日帰り手術はその日で全てが終了するものではありません。根治性のある手術を、技術や管理などさまざまなテクニックやシステムを導入して、日帰りのメリットをいかす手術です。受診時には医師、看護師などスタッフ双方からの説明がありますので、お気軽にご相談ください。

新しい内痔核治療薬とは?

中国で内痔核の硬化療法剤として承認されている「消痔霊」の添加物を一部変更した内痔核硬化療法剤“ジオン”が、平成17年3月にわが国でも承認されました。
安全性は確認されていますが、注射の方法が従来の硬化療法とは異なり、「四段階注射療法」という、より高度な手技が必要となる独特の方法です。1つの痔核について、4つの部分(上極部粘膜下層・中央部粘膜下層・粘膜固有層・下極部粘膜下層)に分割して投与します。このような技術的なこともあり、まだ限られた専門医のみが使用可能で、内痔核治療法研究会による認定制となっています。
これまでの硬化療法は、5%のフェノールアーモンド油などを痔核に注射し、表面を繊維化させ固めてしまうものでした。出血を抑える働きが中心で、脱肛に対しては、内痔核I度(排便時に出てこない)かII度(排便時に出てくるが自然に戻る)の軽度の脱肛に対して行われますが、働きが一時的のことも多く、再度硬化療法を繰り返すこともありました。
これに対し、“ジオン”は、硫酸アルミニウムカリウムおよびタンニン酸を有効成分とし、脱出と排便時の出血を消失させる働きがあります。また、従来は手術による治療が行われていた重度(IV度)の内痔核にも治療改善が認められています。手術に比べ、治療後の痛みや出血といった合併症が少なく治療期間が短くて済むという利点があります。
しかしながら、直腸狭窄といった重篤な副作用も報告されています。また、外痔核まで連続して固定が悪くなっている場合は、ジオンの適応ではありません。
再発についても、現在の報告では1年後の再発率は16%といわれていて、手術と従来の硬化療法との中間に位置付けされるものと考えています。
内痔核治療の選択肢の1つですが、当クリニックでは安全性を重視し、ジオンの働きによる適応を考え選択しています。

肛門スキンタッグ(皮垂)とは?

肛門スキンタッグ(皮垂)とは、外痔核、嵌頓痔核の保存的治療後や頻回に起こる肛門周囲の皮膚炎などで肛門縁の皮膚に結合織の増殖を伴う繊維性のしわ、皮膚のたわみのことです。皮垂は日常外来診療でよく見かけますが、病的意義がないと判断され軽視される場合が非常に多いのです。しかし、患者さんにとっては肛門の強い不快感に繋がり、その悩みは想像以上に深いものであることを痛感します。患者さんの訴えはさまざまですが、肛門のしこり、違和感、腫脹、痛み、痒み、べとつきなどが多いです。確かに、皮垂自体は多くが病的意義がないため、気にならなければ放置してかまいませんが、気になったらとまらない、気にするなと言われても気になる(特に女性でその気持ちは顕著です)・・・。そのようなもので患者さんは何年も悩み続けていることがあります。また、皮垂があるために排便後、肛門をきれいに拭ききれないことで頻回に拭いて痛みや痒みを訴えるケースもみられます。さらに、皮垂があるために排便時に肛門が外方に牽引され、裂創ができて慢性化し更に皮垂が増大、肛門ポリープが発生することもあります。つまり、慢性裂肛の原因にもなりえます。これらは病的意義がある皮垂と考えます。
当クリニックではこの皮垂も1つの疾患としてとらえ、患者さんの満足度を高めるべく治療を行っています。皮垂の治療は切除です。内痔核を伴う皮垂は根治性からも、通常の内外痔核の根治術同様結紮切除術を勧めますが、痔核としては軽度の症状である患者さんも多く、根治術は必要ないケースも多くみられます。
肛門疾患はほとんどが良性疾患ですから、苦痛度の有無が治療するかどうかの決定因子と考えています。ならば皮垂も患者さんが辛く、治療によりその苦痛から開放されるなら病的意義は関係なく治療すべきであると当方は考えています。

巻き爪、陥入爪に対する爪矯正とは?

巻き爪は10人に1人はいると言われとても多い疾患で、かつ、苦痛度の高い疾患です。巻き爪は爪が横方向に巻いている状態を呼びます。その原因は3つです。深爪、足に合わない靴、ぶつけた場合です。特に深爪が主な原因です。深爪をすると歩いた時に床からの力で軟部組織が爪の縁から持ち上げられ、その軟部組織が爪を押して巻き爪になります。また、靴下が切れてしまうので爪の角を切って深爪にしてしまう人もいます。爪をぶつけると爪の縁の軟部組織が腫れて持ち上がり、爪を押すので巻き爪になります。靴も原因の一つです。ハイヒールなどのトゥー・ボックスの狭い靴を履くと爪が押されるので深爪をしがちになります。逆に大き過ぎる靴も巻き爪の原因になります。例えば長靴は靴の中で足が動きすぎるので、爪が押されます。
陥入爪は爪の角がトゲのように軟部組織(肉)に刺さって炎症を起こした状態を呼びます。陥入爪の人は巻き爪になっている事が多く、爪の角を切ると一時的に痛みはなくなりますが、爪が伸びたときに、さらに巻き込み、より重症な陥入爪になります。こうした例では一般的に爪の幅を狭くする手術を行いますが、再発が多いだけでなく、爪の幅がせまくなることで荷重に対して弱くなり転倒しやすくなると言われています。
新しい知見からは、なるべく爪を切らずに、自らの爪を伸ばしながら治療していく考えがあります。巻き爪の無い陥入爪は、爪の角が刺さらない様な処置を行い、爪が伸びれば治ります。ところが手術や処置では陥入爪は治せても、爪を平らにする事はできませんから、手術では巻き爪は治せません。この巻き爪を治す方法として注目されている方法に爪矯正があります。これは形状記憶合金や超弾性合金による爪矯正具を用いた矯正です。詳しくは『町田医師の足と靴の医学』をご覧ください。
当クリニックでは、炎症を来している時は処置や投薬を行い、炎症を鎮静化させます。その後、湾曲した爪の処置として爪矯正を薦めています。炎症を起こしている状態での治療は保険が利きますが(保険診療)、爪矯正は保険が現在利きませんので保険外診療(自費診療)となります。

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新しい傷の治療法~湿潤療法について~

擦り傷、切り傷、やけどなどはありふれた皮膚外傷疾患です。
今までの傷の治し方は「傷は消毒して乾かして治す」というのが常識でしたが、湿潤療法を一言で述べると、消毒薬は全く使用せず、湿潤した状況下で自らの治る力を最大限に利用し治療するものです。急性期の皮膚外傷は何をやっても最終的には治りますが、湿潤療法は、痛みが少なくて傷跡もきれいに改善できるという特徴があります。
湿潤療法に関しては、最近の皮膚再生メカニズムの研究により、傷口から出て来るぐじゅぐじゅした液体の中には、実は傷が治るのを助けてくれる物質(細胞成長因子など)が含まれていることがわかってきました。今までの治療はわざわざそれをガーゼで吸い取ってしまっていたために、かえって新しい皮膚の細胞の成長を遅らせていたことになります。また、消毒薬そのものには、細菌(ばい菌)を殺す作用もありますが、同時に傷を治す正常な細胞も殺してしまうのです。消毒しなければ化膿すると思われるかもしれませんが、化膿の主役は細菌ではないのです。傷に細菌がいても(元々皮膚には常在菌がたくさんいます)、それが炎症を起こしていなければ、それは問題ないのです。傷が化膿する理由、それは異物の存在です。たとえばトゲを刺したままにしておくと、そこから細菌が入って化膿することは知られています。しかし、すぐにトゲを抜いてしまえば何ともないことが多いのです。トゲ自体も異物ですが、出血して固まった血液も、挫滅して死んでしまった皮膚も異物になる。これら異物が残っていると細菌が繁殖しやすい状態になる。これが化膿するということなのです。
そこで傷口に消毒薬をぬらずに、生理食塩水や水道水などできれいに洗浄し(細菌の数を減らすことが重要)、ガーゼを貼り付ける替わりに、水分を保つ作用のある高分子の素材でできた医療用の被覆材や、ラップなどをかぶせることで、湿潤した状態を維持する治療法が湿潤療法です。この新しい治療法では、被覆材が傷に接着してしまうことがないため、今までのガーゼ交換のときのくっついた傷からはがす痛みが少なくなっています。また、湿潤環境に傷が保たれることにより、傷自体のズキズキする痛みも減少します。
そのうえ、傷の改善が早いために、従来の治療法よりも傷跡が目立たずに改善できます。
当クリニックでは、このような新しい傷の治療法を積極的に導入し診療にあたっております。
湿潤療法に関しては、夏井先生の「なついキズとやけどのクリニック」ホームページに詳しく述べられています

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